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2021.04.08

最近よく聞く「眼軸近視」って?

2021年2月放送になりますが、みなさんはテレビ番組「NHKスペシャル」の「私たちの“目”が危ない」という特集をご覧になりましたか?

このNHKの番組内で話題になった『眼軸近視』について、今回は少しお話したいと思います。

人類史上かつてない「超近視時代」

 

まず驚いたことは、WHO(世界保健機構)も懸念しているという人類史上かつてない「超近視時代」を今、私たちは迎えているという、かなりショッキングな内容の番組でした。

 

パソコンやスマホという今では欠かせないデジタル機器。

その恩恵を毎日私たちは受けていますが、その一方、目には多くの負担を掛けているという内容でした。

 

さらに、2020年からの「新型コロナ」ウイルスの感染拡大を背景に、リモートワークなど、いわゆる「おうち時間」が増え、パソコン、スマホ、そしてゲーム機など、ますます目が酷使されている状況が続いているとのこと。

 

なんとも実感しちゃいます。

 

目の長さが伸びている?

 

この番組の中で、コロナ渦の小学生の視力や目の状態を調査した眼科の専門医の話として、近視の原因となる「目の長さ」が伸びている子どもが増え、「目にとってかつてない危険な時代になっている」と指摘されていました。

 

ここで「目の長さ」といっても、目の横幅のことではありません。

ちょっと専門的な言い方でしたが、「目の長さが伸びている」とは、「眼軸」が伸びているということでした。

 

「眼軸」とは、目の部分名称でいうと角膜から網膜までの長さのこと。

 

 

日本人の成人の場合、眼軸長の平均は約24mm程度といわれています。

この長さが延びることを「目の長さ」が伸びている、と話されています。眼軸の長さが数mmでも長くなると、ピントが網膜より手前で合ってしまい、遠くが見えにくくなるのです。これを「眼軸近視」(医学的には「軸性近視」)といいます。

参照:日本弱視斜視学会 「近視について」

 

今、この「眼軸近視」のお子さまが(大人もですが)増えていることが「目にとってかつてない危険な時代になっている」と指摘されていたのです。

 

眼軸近視とは

 

 

もう少し、「眼軸近視」について、記載してみますね。

 

目はふだん、レンズの働きをする目の中にある『水晶体』が、膨らんだり縮んだりすることで、網膜の上で焦点が合うように調節しています。それでピントを合わせています。

見たいものが近づけば近づくほど水晶体は頑張って膨らみます。近い距離ばかり見続けると、頑張って水晶体が膨らんでも焦点が奥に行きすぎて、調節してもピントが合いづらくなってしまうんですって。

そして、この状態が長く続くと、目のかたちを変えてまでピントを合わせようとすることを強制的に行ってしまいます。

 

だから、この奥にいってしまったピントを強制的に網膜上に合わせようとして、「眼軸」が伸びてしまうのです。

 

これは、目の形(大きさ)が変わっていくということ。

 

かなり極端な話ですが、人類が「クロマニヨン人」などから「現代人」になるまでの形相(様相)変化に比べるとはるかに早く、環境の変化で目の形が変わっていっているということです。

「眼軸」が伸びてしまうと、眼球は『ピンポン玉』から『ラグビーボール』のような形成になってしまい、遠くのものを見てもぼやけてしまいます。

 

これが「眼軸近視」です。

伸びた眼軸は戻らない。早めの眼科受診を。

 

さて、ここからが重要な話です。

 

お子さまは、もちろん心も身体も成長しますね。

この成長にしたがって、「眼軸」もぐんぐん伸びてしまうというのです。しかも「眼軸」は伸びてしまうと、二度と元に戻らないと…

 

やっかいなのが、眼鏡店での視力測定ではわからないのです。

眼科受診してわかることですので「眼軸近視」とは「隠れ近視」となります。

 

 

視力(近視度数)の変化が著しいときには、早めに眼科を受診しておきましょう。

 

目のリラックスはとても大切

 

お子さまも最近は、スマホやパソコン、タブレットを使うようになりました。

 

もともとゲーム機などをずっと見続けることで、近視のお子さまが増えているといわれていたのですが、ここ数年はこれにスマホやパソコンが加わりました。さらに、昨年からのコロナ渦。ますます部屋の中での生活が増え、目は非常に酷使されています。

 

ですから保護者の方はできるだけお子さまの目のことを考え、近い距離のものを見る時間を減らすようにしてみてください。

 

そして一定の時間に遠くを見て、目を休めさせてあげてください。

もちろん、可能であれば、広場などに行ってサッカーなどの球技をすることで、目の遠くから近くへの運動にもなります。目のストレッチですね。やはり心身ともに運動は重要ということです。

 

こんな動画もご紹介!

3分でできる目の体操。こちらもオススメです!

 

めがねのまちの目の健康体操 / 福井県鯖江市

大人でも近視が進行する?

 

心配なのはお子さまばかりではありません。

 

大人になったら、進行が止まるといわれている近視ですが、大人になっても「眼軸」が伸びて、近視の進行が進むということも最近指摘されているそうです。

その大きな原因の一つが、「度が合っていないメガネやコンタクトレンズ」の着用といわれています。 例えば、メガネの度が強いと、遠くはよく見えるでしょう。ですが、焦点が奥に行きすぎてしまいます。

 

専門用語で「過矯正」といいますが、これが、最終的に「眼軸」を伸ばしてしまうのではないかと指摘されているのです。

眼軸が伸びることのリスク

 

「NHKスペシャル」の中で日本眼光学学会の梶田雅義理事が「診療でやってくる8割から9割の患者さんのメガネやコンタクトレンズは合っていない」とお話しされていました。

 

大人の方は、近視が進むことで、視野が狭くなる緑内障や網膜剥離など深刻な病気のリスクも高まるとのことでした。

 

緑内障は、目の奥の視神経が傷つくことで視野が失われ、最悪の場合、失明することもある怖い病気と言われています。緑内障は最近まで、眼球の中の圧力、つまり眼圧が高くなって視神経が傷つくことが原因とされていました。ですが、「眼軸」が伸びることで視神経がダメージを受け、緑内障発症のリスクにつながっているのではないかともいわれているのです。

参照:日本近視学会「病的近視とは」

 

軽い近視の方は、たかが近視、と思っている方も多いかもしれません。

ですが、このように深刻な目の病気につながることもあるそうです。さらに、視力と認知症との関連も最近は分析が進み、関連性があるのではないかといわれています。

つまり、目からの情報は脳が得る情報の大半を占めます。その目が見えなくなることで、脳への刺激が減り、人気知能が低下するのではないか(奈良県立医科大学 緒方奈保子教授)と指摘されています。

 

最後に

 

ここまで、「NHKスペシャル」で紹介されていた「眼軸近視」について記載してみました。ちょっと怖い話ですが、重要なお話だったと思いコラムにアップしています。

 

最後に、皆さんにおすすめできることは、まず目の定期検診。

お子さまも大人も1年に一度ほど、眼科の医師に見ていただくと安心できるということです。

 

「メガネ」や「視力測定」ついてのお悩みは、お気軽に最寄りの『メガネのイタガキ』へご相談ください。大型自動車免許にも必要な『深視力』の測定も承っております。(深視力の設置店舗はお問い合わせください)

また、メガネのイタガキでは地域の眼科専門医のご指導のもと、メガネをお作りするだけでなく、視力測定の段階で「おかしいな」というときには、メガネをご購入いただくより先に、まず眼科受診をご案内しております。

 

気になることがありましたら、お近くの眼科、お近くのメガネのイタガキにお出かけください。