板垣 補聴器のこだわり

補聴器の選び方(形状によるメリット・デメリット)

補聴器は、形によって得意とすること・不得意とすることなどの特性があります。商品によってお試し利用も可能ですので、ぜひご相談ください。

テレビの通信販売や新聞の通信販売で集音器や補聴器をご覧になったことがある方も多いと思います。ご自身で補聴器をお使いになっている方は、補聴器のイメージがすぐに浮かぶでしょう。中には全く補聴器を見たこともない、イメージも浮かばないという方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは補聴器の形状について考えてみます。補聴器選びの参考になれば幸いです。

補聴器には何種類の形状があるのか

当社が主にご案内している補聴器メーカーはGNヒアリングジャパンとシグニアの2社ですが、いったい何種類の形状があるか数えてみました。

 

厳密に申し上げますと、形状ですから「耳あな型」、「耳かけ型」、「ポケット型」の3種類(ごく僅かだがメガネ型も有り)ということになります。しかし、実際に補聴器を選ぼうとした時にカタログを見ると、「耳あな型」だけでも何種類もの形、大きさが掲載されています。

 

そこで、型と形状とサイズを細かく分けて数えてみました。なんと16もあります。実際に補聴器を選択する際、16種類から選ぶことはまずありませんが、購入しようとした時にはそれだけの選択肢があるということは知っておいた方が良いかもしれません。知らなければ、紹介してもらわなければ選べないわけですから。

形状別のメリット・デメリット

ここからは形状別のメリット・デメリットを考えてみますが、お客様にお伝えしたいこととして「どういう補聴器を装用したいかはっきり伝えていただいて構わない」ということです。「この補聴器でなくてはダメ」とか「この型でないと作れない」ということもありますが、そういったケースは稀なことです。お客様のご要望に応える、もしくは限りなくご要望に近い物を提案することが私たちの役目です。それを可能にするだけの多種多様な補聴器が揃っています

 

ご家族や友人が補聴器を使用していれば、補聴器選びの参考にすることもできますが、実際は全くわからないという方も少なくありません。最近の傾向として90%以上の方が「耳あな型」か「耳かけ型」を選択されます。

 

「ポケット型」補聴器を今でもお使いの方もいらっしゃいますが、よく目にしたのは30年~40年くらい前です。今ではかなり少数派となりましたが、「ポケット型」補聴器のメリット・デメリットからご案内いたします。

「ポケット型」補聴器のメリット・デメリット

「ポケット型」補聴器のメリット

①本体が大きく耳に入れたりしませんので、自分の目で見ることができ操作が楽です。

 

②難聴度合いが高い方にも対応できる大きな音が出せます。

 

③比較的安価な補聴器です。4万円~6万円くらいのものが主流です。

 

④特殊な電池が不要です。一般的な乾電池が使えます。

 

⑤本体が体から離れているため汗の影響が少なく故障のリスクが小さいです。

「ポケット型」補聴器のデメリット

①目立つ。本体も大きくコードがありますから人眼が気になる方には不向きです。

 

②活動しにくい。コードが邪魔になることが多いです。

 

③服を選びます。置いて使用する以外は服のポケットに入れなくてはならないので、胸ポケットがあるか?など着る洋服に気を遣います。

 

④きめ細やかな音質の調整はできません。

「ポケット型」補聴器はGNヒアリングジャパンから販売されています。障害者総合支援法にも対応している型なので病院の指示で選択する方が多いです。日本で販売された補聴器の約4%が「ポケット型」補聴器です。

「耳かけ型」補聴器のメリット・デメリット

「耳かけ型」補聴器のメリット

①適応範囲の広さ。難聴の程度が軽度から重度まで幅広く対応できます。

 

②ファッション性に富んでいます。スタイリッシュなデザインで補聴器に見えない形状もあります。形状だけでなく本体のカラーもカラフルなものが増えてきました。GNヒアリングは最大14色から、シグニアは最大16色から選ぶことができます。

 

③多機能である。ブルートゥースを使用した無線機能や、電話を聞くためのテレコイルやFM装置を使用するためのアダプターの取り付けが可能なものもあります。

 

④充電タイプがあります。補聴器用の空気電池は小さく、5日~14日くらいで交換が必要です。これが大変であったり、面倒だというお声も聞きます。充電タイプですとそういった煩わしさはございません。

 

⑤価格の選択幅も広い。当社では「耳かけ型」補聴器を39,800円から販売しております。高価なものですと1台50万円以上するものもございます。お客様のご予算や使用環境に適した補聴器をご紹介いたします。

 

⑥お試しができる。音の聴こえ方の確認だけでなく、耳栓やチューブを店頭で交換が可能ですから実際の装用状況に限りなく近づけることができます。この後にご案内する「耳あな型」補聴器は、補聴器を装用する方の耳の形どおりのシェルを作製しますので、実際の装用感は購入前には分かりません。

「耳かけ型」補聴器のデメリット

①メガネやマスクの邪魔になることも。メガネとマスクと補聴器、3つ一緒だと装用するのも大変ですが、マスクを外した時に補聴器が外れてしまうこともあるようです。紛失にはくれぐれも気を付けたいものです。

 

②比較的故障リスクが高い。耳介にひっかけるように装用しますので、汗の影響を受けやすいのが「耳かけ型」補聴器です。最近は防塵、防水仕様の補聴器も販売されていますがマイクに汗が入ったりしてしまうと、どうしても故障のリスクが大きくなります。防塵、防水を過信せずに使用後のお手入れをきちんとしていただくことをお勧めしています。また、当社では補聴器専用の乾燥・除菌ケースの販売もしております。

日本で販売されている補聴器の約65%が「耳かけ型」補聴器です。RICタイプと言われるタイプが普及し、充電式の人気もあり近年増加傾向にあります。

「耳あな型」補聴器のメリット・デメリット

「耳あな型」補聴器のメリット

①目立ちにくい。小指の先端ほどしかない小さいタイプは、正面からも横からもほとんど見えないようにお作りすることも可能です。

②メガネやマスクの邪魔にならない。老眼鏡を使用する方は、メガネの掛け外しを頻繁に行わなければなりませんが、煩わしくありません。

③汗による故障にリスクが低い。外でスポーツをする方や農作業、ガーデニングなどを趣味とされる方にお勧めです。耳のあなの中はほとんど汗をかきません。ただし、お手入れ不要というわけではありません。

④集音性に優れている。音を拾うマイクの位置が最も鼓膜に近い型が「耳あな型」補聴器です。補聴器の集音性能はマイクの音口の位置が鼓膜に近いほど良いとされています。

⑤安定した装用感。「耳あな型」補聴器の主流である「オーダーメイドタイプ」はお使いになる方の耳型を採取して本体を作製します。外耳と外耳道は複雑な形をしていますが、お使いになる方の耳の形どおりに仕上がりますので、フィット感も良いです。フィット感が良く外れにくいため、紛失しにくいという長所もあります。

「耳あな補聴器」のデメリット

①やや高価となることもある。「耳かけ型」補聴器と同じグレードで比較した場合、耳型を採取して「オーダー」するため「耳あな型」補聴器の方が価格が高くなります。

 

②お試しできない。音の聴こえ方は、購入を考えているグレードの「耳かけ型」補聴器の試聴器で確認できます。しかし装用した感じを知りたい場合、「オーダーメイドタイプ」ではほとんどの場合不可能です。

 

③音のこもり感や自声の響きが気になりやすい。「耳あな型」補聴器は装用する耳の穴をぴったりと塞ぎますから、耳の穴に指を入れて声を発しているような違和感を感じる方もいらっしゃいます。しかし、補聴器の形状を工夫することによって違和感を大幅に軽減できることもあります。GNヒアリングジャパンの「ダブルエア」やシグニアの「Cool」という今までの「耳あな型」補聴器にはなかったような特殊形状の補聴器も人気があります。

日本の補聴器市場の約35%が「耳あな型」補聴器です。既製の「耳あな型」補聴器も販売しておりますが圧倒的に「オーダーメイドタイプ」の方が数は多いです。 「耳あな型」補聴器をご希望の方で、過去に耳の手術をされたことがある方は耳鼻咽喉科を受診し、「耳あな型」補聴器の作製が可能かご相談いただくことをお願いしております。

いかがでしたでしょうか?補聴器は聴こえをサポートするツールですから、聞こえを改善することが最も重要ですが、当社では聴こえの改善だけでなく趣味の世界のようにこだわりを持って補聴器を使っていただきたいという思いを込めて、幅広いご提案ができるよう努めてまいります。補聴器を装用することが楽しみのひとつになれば幸いです。